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N┃→ 仮想力線電磁気学
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●第18回 概要(その18)
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今回も、遠隔作用ついて説明します。
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53.エネルギーの配分
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他の物理理論でもそうですが、仮想力線電磁気学でも、保存則は極めて重要な概
念となります。
さて、前回、保存則では、何の間で成り立つのか、その関係者を全て洗い出すこ
とが重要であることを述べました。
今回は、エネルギーが、その関係者の間で、どのように配分されるのか、という
ことを見ていくことにしましょう。
まず、この世に物体が二つしかない場合を考えます。
そこで、今、一方の物体Aが周囲に何らかの作用を及ぼしてΔEaだけエネルギー
を失ったとします。
すると、エネルギー保存則から、他のものが、その分だけエネルギーを得ている
はずです。
遠隔作用の場合は、もう一方の物体Bが、ΔEaだけエネルギーを得ているはずで
す。
つまり、物体Bのエネルギーの増加量をΔEbとするならば、
ΔEa = ΔEb
が成り立つはずです。
一方、近接作用の場合は、作用に媒体である空間が関わってくるので、空間もエ
ネルギーを得ることになります。
このため、その分、物体Bが受け取れるエネルギーは少なくなるはずです。
ΔEa > ΔEb
空間が得たエネルギーをΔE0とすれば、
ΔEa = ΔEb + ΔE0
となります。
このように、近接作用では、空間という第三者が関わってくるため、物体(Aと
B)だけでは保存則は成り立ちません。
一方、遠隔作用では、空間という第三者が関わってこないため、物体(AとB)
だけで保存則が成り立つことになるのです。
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54.鳶に油揚げさらわれた?
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さて、それでは、物体の数が3つ以上になったら、どうなるでしょう?
今度は、物体Cが加わった場合を考えます。
遠隔作用では、物体だけを考えれば良いのでした。
しかし、物体Cが加わると、
ΔEa = ΔEb
は成り立たなくなります。
なぜなら、物体Bだけでなく、物体Cも、物体Aからエネルギーを受け取るから
です。
物体Cが得たエネルギーをΔEcとすれば、
ΔEa = ΔEb + ΔEc
つまり、
ΔEa > ΔEb
となるわけです。
ここで気付いてほしいのは、物体Cが加わったせいで、物体Bが受け取れるエネ
ルギーの量が減ってしまったことです。
これは、ちょうど、近接作用において、空間にエネルギーの取り分を奪われてし
まったのと、よく似ています。
このように、遠隔作用では、ある物体間のエネルギーの授受に、他の物体が干渉
して来るのです。
これは、言い換えれば、
『他の物体にエネルギーを横取りされる』
と言うことが出来ましょう。
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55.残り物?
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さて、そこで問題になるのは、
『どれくらい横取りされるのか?』
ということです。
なぜなら、上の例で言えば、物体Cに横取りされる分を差し引いた分が、物体B
の受け取れる分になるからです。
つまり、
ΔEa − ΔEc = ΔEb
というわけです。
言うまでもなく、ΔEcが大きくなればなるほど、ΔEbは小さくなります。
つまり、他に横取りされる量が多くなればなるほど、自分が受け取れる量が少な
くなってしまうということです。
極端な話、
ΔEc ≒ ΔEa (ただし、ΔEc < ΔEa)
だと、
ΔEb ≒ 0 (ただし、ΔEb > 0 )
となってしまいます。
このように、遠隔作用では、他の物体がどの程度関わって来るのかが、極めて重
要になってくるのです。
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56.近接作用では空間が配分
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さて、上で述べたことは、近接作用でも言えることのように思えるかもしれませ
んが、実はそうではありません。
まず第一に、
ΔEa = ΔEb + ΔEc
という式は成り立ちません。
なぜなら、媒体である空間がエネルギーを奪うためで、
ΔEa > ΔEb + ΔEc
となります。
しかし、それ以上に、もっと大きな違いがあります。
それは、ある例外を除いて、物体Bが受け取るエネルギーの量が、物体Cの影響
を受けないということです。
ある例外とは、下図のように、物体Cが、物体Aと物体Bの中間にある場合のこ
とです。
○ ○ ○
A C B
なぜ、そうなるのかというと、近接作用では、媒体である空間を介してエネルギ
ーの授受が行われるからです。
物体Aは、物体Bや物体Cに直接、作用を及ぼすわけではありません。
エネルギーについても同様で、物体Aがエネルギーを与える相手は、空間なので
す。
エネルギーは、空間を伝わって、相手の物体に到達します。
ここで気付かなければならないのは、物体Bに到達するエネルギーは、最初から
物体Bの方向へ向かったエネルギーであり、また、物体Cに到達するエネルギー
は、最初から物体Cの方向へ向かったエネルギーであることです。
○C
/
/
A○−−−−○B
そして、この両者は、互いに干渉しません。
このため、物体Bに到達するエネルギー、すなわち、物体Bの方へ向かったエネ
ルギーは、物体Cのことなど知ったことではないのです。
このため、物体Cのことなど関係なく、物体Bに配分されるエネルギーの量は決
まってしまうのです。
つまり、物体Cがあろうと無かろうと、そんなことには関係なく、物体Bが受け
取るエネルギーの量は、同じなのです。
物体Cが影響するのは、物体Cが物体Bの前に立ちはだかって、物体Bの方向へ
向かったエネルギーを横取りするときだけです。
こうした例外を除けば、近接作用では、物体Bの受け取るエネルギーの量は、物
体Cの影響を受けないのです。
ただし、物体Aからエネルギーを受け取った物体Cが、物体Aや物体Bに作用を
及ぼして、結果的に影響を及ぼすことはあります。
しかし、それには時間がかかるので、直接的な影響としては無視されるのが普通
です。
このように、近接作用では、エネルギーの配分についても、第三者の影響は、ほ
とんどの場合、無いとされるのです。
これに対し、遠隔作用では、第三者の影響をもろに受けます。
場合によっては、そのせいで、自分の取り分が(ほとんど)ゼロになってしまう
こともあります。
これは、近接作用では有り得ないことです。
そして、このことが、また、遠隔作用が、近接作用よりも多くの事実(特に量子
論的な現象)を説明できる理由の一つでもあるのです。
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