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●第17回 概要(その17)

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今回も、遠隔作用ついて説明します。

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51.保存則
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前回、遠隔作用では、作用を及ぼそうとする物体は、その作用を受けて仕事をさ
れる相手がいないと、運動量やエネルギーを失うことができないという話をしま
した。
これは、運動量やエネルギーの『保存則』によるものです。

さて、保存則で問題になるのは、
『その対象となるものは何か?』
ということです。
つまり、何の間で保存則が成り立つのか?、その関係者を全て正確に把握しなけ
ればならないのです。

例えば、近接作用の場合は、空間が媒体として作用に関わってくるため、作用を
及ぼし合う物体だけでなく、空間のことも考慮に入れなくてはなりません。

これに対し、遠隔作用の場合は、空間(真空)は作用に関して何の役割も果たさ
ないので、空間のことは考える必要が無く、(実体のある)物体だけを対象にす
れば良いのです。

ただ、ここで注意しなければならないことがあります。

近接作用の場合は、空間のことも考慮しなければならないのですが、その(空間
の)範囲は、せいぜい、作用を及ぼし合う物体の間の領域についてだけです。
つまり、作用を及ぼし合う物体と、その途中の空間だけを考えれば良いのです。

これに対し、遠隔作用の場合は、空間自体については考えなくて良い代わりに、
全空間に存在する全物質について考慮しなければならないのです。

こんなところからも、近接作用が局所的で、遠隔作用が非局所的になることが、
おわかりいただけるのではないかと思います。

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52.錯覚
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このように、遠隔作用では、自分が注目していない、視界の外のものが、ごちゃ
ごちゃと関わってくるので、状況を把握するのが非常に厄介になります。
そして、このことは、科学では極めて重要な概念である『観測』について、重大
な問題をもたらします。
つまり、自分が注目しているものしか考えないような態度をとっていると、本当
は何も無い場所に「何かがある!」などと錯覚してしまうことがあるのです。

一番わかりやすい例が、以前にお話しした『仮想エーテル』でしょう。
仮想エーテルは、作用を及ぼし合う物体間に、仮想的に想定される疑似エーテル
で、本当は実在するものではありません。
したがって、見かけ上は仮想エーテルがエネルギーを伝えているかのように見え
ますが、実際には仮想エーテルが想定されている場所(つまり物体間)には、エ
ネルギーは存在しないのです。
では、どこに存在するのかというと、周囲に存在する物体に存在するのです。
つまり、周囲に存在する物体がエネルギーを伝えているのです。

このように、そこにエネルギーがあると思っても、本当は、そこにはエネルギー
は存在しない(別の場所にある)のです。

遠隔作用では、こうした錯覚を、合理的に説明できるのです。

19世紀の科学者たちがエーテルという媒体の存在を信じてしまったのも、それ
以降の科学者たちが『場の実在性』や近接作用(空間が作用を伝えるのだという
考え)の正しさを確信してしまったのも、こうした『錯覚』がもたらしたものだ
といえます。

こうした錯覚が生じるのは、周囲のものが関わってくるからです。
周囲の状況次第で、ありもしないものが検出されてしまったり、さらには、現実
には有り得ないものが検出されてしまったりするのです。
そして、これは何もエネルギーだけに限ったことではありません。

そういわれると、近代以降の物理学に関して、思い当たるふしがあるでしょう。

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