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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第13回 概要(その13)

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今回も、力線に関する説明をいたします。

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41.力線と電磁誘導
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ファラデーの理論も、マックスウェル電磁気学も、どちらも近接作用の理論なの
ですが、電磁誘導の考え方が異なります。

マックスウェル電磁気学では、ある場所(微小領域)の磁場が変動すると、その
周りに電場が誘導される、としています。

これに対し、ファラデーの力線の理論では、磁力線を横切ると、磁力線と運動方
向の双方に垂直な向きに電気力が生じる、としています。

こうしてみると、マックスウェルは、電磁誘導のような動的な電磁気現象に関し
ては、ファラデーの考え方を受け継がなかったことがわかります。

これに対して、仮想力線電磁気学では、ファラデーの考え方を継承しています。
さらに、電磁誘導だけでなく、その逆の現象(磁電誘導?)についても、
『電荷からのびた電気力線が横切ると磁気が生じる』
とするファラデーの考え方を継承しています。

さて、非常におもしろいのは、ファラデーが、磁力線を横切った時に生じる電気
力に関して、電気力線を描かなかったことです。
これは、仮想力線電磁気学における力線の考え方と共通するところがあります。
つまり、力線の実在性の問題です。
以前にも述べたように、仮想力線電磁気学では、磁力線を横切った時に生じる電
気力に関する電気力線は、仮想的にすら価値を認めません。
また、そうして生じる電気力は、それを受ける電荷が存在しないと、考える意味
がない(つまり電場は実在しない)とする点でも、ファラデーの考え方と共通し
ていることに気付くでしょう。

こうしてみると、ファラデーは極めて帰納的に、力線の理論を構築していったこ
とがおわかりになると思います。

また、こうしたことから、ファラデーの理論でも、マックスウェル電磁気学が予
言したような電磁場の連鎖反応が起こらないことになるわけです。
そして、それ故に、ファラデーは、近接作用を信じていたにもかかわらず、電磁
波の存在を予言し損なったのです。

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42.力線と運動の相対性
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ファラデーの理論にしろ、仮想力線電磁気学にしろ、力線の理論の優れたところ
は、運動という概念が明確になることです。

マックスウェル電磁気学では、場、すなわち、空間が電磁気作用の主役になるの
で、運動の扱いがどうしても曖昧になります。

これに対して、力線の理論では、運動が明確に扱えるのです。
これは、力線が、その起源(あるいは沸き出し)となるもの、例えば、電荷とか
磁石といったものとともに動くとされているからです。
このため、離れている物体同士の相対運動というものが、明確になるのです。

相対性と言えば、多くの実験事実から、電磁気現象は、運動の相対性を満たして
いることが判明しています。
力線の理論は、運動に関して、上述のような記述の面だけでなく、相対性を満た
すという点でも、場の理論より優れた理論です。
マックスウェル電磁気学では、媒体である空間の運動が問題になり、相対性が満
たされなくなります。
これに対し、ファラデーの力線の理論では、空間が作用の要因ではなく、空間に
のびた力線が作用の要因なので、空間の運動は関係しません。
したがって、物体の相対運動だけが問題になります。
しかも、力線は物体と一緒に動くので、その結果、運動の相対性が満たされるこ
とになるのです。

さて、遠隔作用の理論でも、媒体の必要がなく、そのため運動の相対性が満たさ
れることは、以前にも申し上げました。
こうしてみると、ファラデーの力線の理論は、近接作用の理論であるにもかかわ
らず、遠隔作用の理論と非常に相性が良いことが、おわかりいただけると思いま
す。
仮想力線電磁気学が、遠隔作用の理論であるにもかかわらず、近接作用の理論で
あるファラデーの力線の理論の考え方を取り入れることができるのも、こうした
理由からです。

次回は、こうした点について、もう少し触れてみようと思います。

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