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N┃→ 仮想力線電磁気学
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●第110回 第4章・遠隔作用と疑似近接作用(その40)
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当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。
発行間隔が大変長くなってしまって、申し訳ありません。
今回も、遠隔作用へのステップとなる話として、『存在確率』と『場の理論』と
の関係について説明いたします。
なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。
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185.空間に貯蔵
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今、下図のように、二つの物体が存在したとします。
[図110・1]
A B
○ ○
では、物体Aのエネルギーはどこに存在すると考えれば良いのでしょうか?
エネルギーが存在する部分を黒く塗りつぶしてみましょう。
もし、物体Aそのもの(物体Aの内部)に存在するのだと考えるのならば、下図
のようになるでしょう。
[図110・2]
A B
● ○
これに対し、周囲の空間に存在するのだと考えるのならば、下図のようになるで
しょう。
[図110・3]
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■■A■■■■■B■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■○■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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あちこち白い隙間の部分がありますが、これはテキスト・アートの表示上の限界
から来るものですので、どうか御容赦願います。
とにかく、これが、前回の終わりの部分でお話しした、量子化された場の理論の
考え方なのです。
さて、この図、どこかで見たような気がしませんか?
そうです、「エネルギーの粒子」という考え方において、遠隔作用的な現象を説
明する際に用いられた図と同じです。
実は、あの考え方を応用したのが、量子化された場の理論の考え方なのです。
エネルギーが、粒子の形で、しかも、それが雲のような確率的な広がりをもって
存在する…と考えることにより、距離の隔たりを実質ゼロにし、遠隔作用的な現
象を説明できる…としたのでした。
これで、『存在確率』と『場の理論』の話がつながったでしょう。
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186.場の理論の基本
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では、なぜ、「エネルギーが空間に存在する」などという考え方ができてしまう
のでしょうか?
それは、『場の理論』には、もともと、そういう考え方をするところがあるから
なのです。
ここで、『場の理論』の元祖であるマックスウェル電磁気学において、クーロン
力がどのように説明されるか、思い出してみましょう。
例として、下図のような、二つの電荷(◎)の間に働く静電気力の場合を考えま
す。
[図110・4]
A B
◎ ◎
すると、空間が弾性体のように緊張し(いわゆる電磁弾性体)、それによって電
荷に電気力が働く…と説明されるのでした。
つまり、空間が、下図の問題におけるバネのような働きをする…と考えるわけで
す。
[図110・5]
A B
○-////////-○
↑
└ 変形した(伸びた、または、縮んだ)バネだと思って下さい。
ただし、図110・5のバネの問題と異なるのは、物体間の部分だけでなく、全
領域(の空間)がかかわってくることです。
さて、図110・5の問題では、バネが変形していますから、バネがエネルギー
を蓄えていることになります。
同様に、図110・4の電気力の問題では、(電磁弾性体である)空間がエネル
ギーを蓄えている…と考えるわけです。
このように、マックスウェル電磁気学では、(電磁弾性体である)空間がエネル
ギーを蓄えている(それにより電磁気作用が生じる)…と考えるわけです。
さて、量子化された場の理論では、この考え方を、もう一歩、飛躍させるわけで
す。
つまり、物体が放出することになるエネルギーも、空間に蓄えられている…と考
えるわけです。
それも、確率的な存在である粒子の形で。
こうすることで、遠隔作用的な現象を説明しようというわけです。
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187.受け取ったエネルギーはどこに?
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もっとも、この考え方には、御都合主義的なところがあります。
ここで、物体Aが物体Bに作用を及ぼして、仕事をし、エネルギーを与えた…と
しましょう。
すると、物体Aが放出したエネルギー、すなわち、物体Bが得たエネルギーは、
どこに存在するのでしょうか?
物体Bそのものに…ですか?
だとすると、下図のようになりますね。(黒塗りの部分にエネルギーが存在。)
[図110・6]
A B
○ ●
でも、これでは、ダブル・スタンダードでしょう。
なぜなら、物体Aがエネルギーを有していた時は、エネルギーは空間に存在する
ことにしていたはずです。(図110・3参照)
物体Aと物体Bとで差別するのは、一貫性の無い話です。
物体Bだって、エネルギーをどこかに放出するかもしれないのですから。
となると、図110・6ような考え方では駄目で、下図のように、空間に存在す
る…と考えなくてはならないはずです。
[図110・7]
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■■A■■■■■B■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■○■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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なんだか、図110・3と見分けがつきにくくなってきましたね。
もっとも、実際には、各位置における存在確率が、図110・3と図110・7
とでは違いますから、問題を解いている人間様は見分けはつきます。
では、「エネルギーの粒子」の立場からは、どうでしょう?
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188.自分はどっちの所属?
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たとえば、「エネルギーの粒子」(・)が下図の位置にあると仮定します。
[図110・8]
A B
○ ・ ○
さて、この「エネルギーの粒子」は、物体Aと物体Bのどちらの物体のものでし
ょうか?
これでは、わかりませんね。
「エネルギーの粒子」自身にも、わかりません。
なぜなら、物体とは接していないからです。
「存在確率」なんてものを考えている人間様だけにしかわからないことです。
このように、物体のエネルギーが空間に存在することにすると、空間に存在する
エネルギーがどの物体のものか見分けがつかなくなる…という問題が生じてくる
のです。
そこで、図110・3の状態は遷移状態にすぎないと主張する場合があります。
つまり、図110・2 → 図110・3 → 図110・6という変化が瞬間的に
起こると考えるわけです。
また、物体A(B)がエネルギーを有する状態を、図110・2と図110・3
(図110・6と図110・7)の両方の状態にあるとする、いわゆる二重性の
考え方をする場合もあります。
いずれにせよ、苦し紛れの屁理屈をこね回す必要があるわけです。
要するに、近接作用のもとで遠隔作用的な現象を説明しようとすること自体、無
理があるのです。
となれば、近接作用に固執するのをやめて、遠隔作用に乗り換えた方が、スッキ
リするでしょう。
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189.位置が違うということは…
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「エネルギーが空間に存在する」という考え方は、もともと、近接作用を説明す
るためのものです。
それを、物体の有するエネルギーに応用することにより、近接作用のもとで遠隔
作用的な現象を説明しようというのが、量子力学のやり方です。
ということは、これを逆にたどれば、遠隔作用のもとで近接作用的な現象が説明
できるということではないでしょうか?
それをやってみましょう。
そのためには、「物体のエネルギーが空間に存在する」とする理屈を、再解釈す
ればよいのです。
まず、物体のエネルギーが、物体にではなく、空間に存在するというのは、エネ
ルギーの所有者(=物体)の位置と、エネルギーが存在する位置とが異なるとい
うことです。
一方、エネルギーが存在するとされる位置とは、実際には、エネルギーが検出さ
れる位置のことです。
ですから、上の理屈は、「エネルギーの所有者の位置と、エネルギーが検出され
る位置とは、異なる」と再解釈できます。
この再解釈は、遠隔作用にとって、大いに役立つものでしょう。
まず、この再解釈は、エネルギーが離れた位置にある物体に直接(空間を飛び越
えて)伝えられることを意味しています。
これは、まさしく、遠隔作用の特徴です。
さらに、この再解釈は、エネルギーの所有者が、エネルギーが検出された位置に
存在しなくても良い(離れた位置に存在しても良い)ことを意味しています。
これは、エネルギーの所有者となるものが存在しない位置で、エネルギーが検出
されることがあることを意味します。
このため、エネルギーを有する能力が無いものの位置で、エネルギーが検出され
ることがあることになるわけです。
具体的に言えば、それは空間(真空)です。
つまり、空間(真空)が、まるでエネルギーを有していた(伝えてきた)かのよ
うに見えることがあるということです。
これは、まさしく、近接作用的な現象でしょう。
このことから、遠隔作用によって近接作用的な現象を説明することが可能である
ことに気付くでしょう。
次々回は、このことについて説明したいと思います。
なお、次回は、この話題から少し逸れて、エネルギーに関する重要な問題を指摘
したいと思います。
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