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N┃→ 仮想力線電磁気学
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●第11回 概要(その11)
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今回も、場の実在性に関する説明をします。
図(絵文字)が多いので、等幅フォントで御覧下さい。
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38.場のトリック
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前回、遠隔作用では、場は見かけ上のものであり、単位電荷(磁荷)あたりに働
く力に他ならない、と述べました。
これらのことを、実例をあげて説明しましょう。
今、一つの電荷(電荷A)が受ける力(電磁気作用)を考えます。
まず、下図のような場合を考えます。
○ ○
A B
ここで、○は正電荷とします。
これを、『状態1』としましょう。
この場合、電荷Aは、電荷Bから左向きの電気力を受けます。
では、次の場合はどうでしょうか?
● ○
C A
ここで、●を負電荷とします。
これを、『状態2』としましょう。
この場合も、電荷Aは左向きの力を受けますね。
つまり、電荷Aにとっては、『状態1』と『状態2』は、見分けがつかないので
す。
したがって、電荷Aから見れば、両者は、同じ状態なのです。
同様に、以下のような場合は、どうでしょうか?
『状態3』
○
D
○
A
○
E
『状態4』
│+
│+
○ │+
A │+
│+
F(正電極)
『状態5』
○ ○ ○
H A G
『状態6』
↑ ↑ ↑ ↑ ↑
│ │ │ │ │
│ │ ○ │ │ 手前側から向こう側へ移動する磁力線
│ │ A │ │
│ │ │ │ │
電荷Aにとっては、どれも『状態1』(や『状態2』)と見分けがつきません。
こうした例は、他にも沢山考えられます。
そして、電荷Aは、これらの状態を見分けることができません。
つまり、電荷Aにとって、これらは全て同じ状態なのです。
一方、場は、電荷(や磁荷)に働く力によってしか探知できません。
したがって、電荷Aにとって、場は、上で示したどの状態でも同じ、ということ
になってしまうのです。
しかし、実際には、これらは全て異なる状態です。
こうしたことから、場というものが、見かけ上の概念にすぎないこと、そして、
単位電荷(磁荷)あたりに働く力にすぎないことが、おわかりいただけると思い
ます。
と同時に、場というものが、周囲の状態(状況)によって決まるものだ、という
こともおわかりになると思います。
つまり、これこそ、遠隔作用の非局所性、そして、『疑似エーテル』や『疑似近
接作用』の考え方に結びつくものなのです。
要するに、電磁気作用(現象)を考える時は、自分が注目している一つの電荷の
ことだけを考えてもダメだということです。
このように、遠隔作用では、必然的に『多体問題』になるのです。
そしてまた、このことからも、特定のスケールだけで物事を考えるのではなく、
いろいろなスケールで物事を考えることの重要性が、おわかりいただけると思い
ます。
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39.場と力線
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遠隔作用では、場は実在性のないものであることから、力線も実在性のないもの
とされます。
このため、遠隔作用理論である仮想力線電磁気学では、力線は仮想的なもの、と
されています。
遠隔作用の問題において、(仮想的に)価値が認められる力線は、
1.電荷(磁荷)からのびる電気力線(磁力線)
2.電荷からのびる電気力線が動く(横切る)ことによって生じる磁力線
の二種類だけです。
しかも、あくまで仮想的に認められているだけですから、力線から新たな力線が
次々と連鎖反応的に誘導されていくこともありません。
上の2.の磁力線を電荷が横切る時に生じる力(ローレンツ力)についても、力
線は認められません。
ただし、仮想エーテルにより疑似近接作用という近似を行った場合は、問題が近
接作用に置き換えられているわけですから、この場合は、力線は実在性あるもの
とすることができ、それらから次々と新たな力線が誘導によって生じることにな
ります。
もちろん、疑似近接作用は本当の近接作用ではないのですから、力線も本当は実
在性のないものなのです。
このため、前回述べた『場』についてと同様、ある時は力線を実在性あるものと
し、また、ある時は力線を実在性のないものとする、ということになります。
このように、疑似近接作用では、場や力線の扱いには注意が必要です。
* * *
さて、仮想力線電磁気学では、なぜ、場や力線の実在性を認めないのか、不思議
に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
以前にも申し上げましたが、これは、電磁気作用の特徴から帰納的に導かれるも
のです。
もっとハッキリ言うならば、実在性を認めると、事実と矛盾してしまうのです。
では、その矛盾とは何なのか?
それは、『第二章 定説の問題点』で詳しく説明します。
逆に言うと、それが近接作用の問題点であり、仮想力線電磁気学が遠隔作用を採
用する理由でもあるのです。
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