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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第102回 第4章・遠隔作用と疑似近接作用(その32)

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当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。
たびたび発行が長期中断してしまって、申し訳ありません。

前回に引き続き、「量子」という考え方が、どう「遠隔作用」という考え方に置
き換わっていくのか、見ていくことにしましょう。
仮想力線電磁気学の話ではなく、量子論・量子力学の話が続いていますが、これ
らの話を知っておいていただかないと、仮想力線電磁気学の理解も難しいので、
しばしの間、我慢して読んでみて下さい。

なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。

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140.より正しいイメージ
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前回、「エネルギーの粒子」という考え方に、(存在)確率という考え方を取り
入れることにより、遠隔作用的な現象が説明できることを述べましたが、そのイ
メージを表したのが、下図でした。

[図101・4]

  A     B
  ◎     ○
     ↓
  ◎?    ○    (注)「エネルギーの粒子」が「・」ではなく、
     ↓          「?」と記されているのは、それが実在す
  ◎ ?   ○       るのではなく、確率的な存在にすぎないこ
     ↓          とを示す。
  ◎  ?  ○
     ↓
  ◎   ? ○
     ↓
  ◎    ?○
     ↓
  ○     ◎

しかしながら、前回の終わりの部分でも述べたように、これは厳密には正しいイ
メージではありません。(不十分。)
そこで、今回から、(一気にではなく)段階的に、正しいイメージに迫ろうと思
います。(一気に完全には説明しきれないので…。)

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141.放出方向の問題
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図101・4で、まずいただけないのは、「エネルギーの粒子」が放出される方
向が定まっていることです。
物体Aは、物体Bの位置を知らないわけですから、放出方向がわかるわけがあり
ません。
なのに、「?」は、物体Bの方向にのみ放出されています。
これは正しくありません。
正しくは、あらゆる方向に放出されたことにしなければなりません。

ですから、たとえば(上から)2段目は、下図のようになります。

 ???
 ?◎?    ○
 ???

ただし、上図を含め、今回の図には、全て、テキスト・アートの表示上の限界か
らくる問題があることを、予めお断りしておきます。
たとえば上図の場合、「?」が正方形状に8個しか描かれていませんが、実際に
は無数の「?」が、物体Aを中心とする球殻(球の表面部分)状に並んでいる、
と思って下さい。
これと同様のことが、以降の図にも言えますので、予め御了承願います。

さて、3〜6段目も同様の図が描かれます。
ただし、「?」の並びからなる球殻の半径が、順に大きくなっていきます。

メルマガのサイズの都合上、3〜5段目は省略して、6段目を描くと、下図のよ
うになります。

     ?????
    ?     ?
   ?       ?
  ?         ?
  ?         ?
  ?    ◎    ?○
  ?         ?
  ?         ?
   ?       ?
    ?     ?
     ?????

ただし、この図(や以降の図)は、以下の説明の都合上、全体を全角5文字分だ
け右にずらして描かれていることを、お断りしておきます。

さて、7段目については、以下のような段階的な考え方をします。
まず、次のような図を描きます。

[図102・7・1]

     ?????
    ?     ?
   ?       ?
  ?         ?
 ?           ?
 ?           ?
 ?     ◎     ?
 ?           ?
 ?           ?
  ?         ?
   ?       ?
    ?     ?
     ?????

物体Bが描かれていませんが、これもテキスト・アートの表現上の限界からくる
もので、「?」と「○」を重ねて描くことが出来ないからです。

さて、次に、無数にある「?」のうち、物体Bの位置の「?」だけを実在するも
のとします。
すると、下記のような図を描くことができます。

[図102・7・2]

     ×××××
    ×     ×
   ×       ×
  ×         ×
 ×           ×
 ×           ×
 ×     ○     ・
 ×           ×
 ×           ×
  ×         ×
   ×       ×
    ×     ×
     ×××××

「×」は、無かったことにする「?」です。
「・」が、実在することにする「?」です。
「エネルギーの粒子」が実在することになった途端、物体Aが「◎」から「○」
に変わりましたね。

そして、これに物体Bを書き込むと、

[図102・7・3]

     ×××××
    ×     ×
   ×       ×
  ×         ×
 ×           ×
 ×           ×
 ×     ○     ◎
 ×           ×
 ×           ×
  ×         ×
   ×       ×
    ×     ×
     ×××××

となるわけです。

ここで示した思考のステップは、極めて重要ですので、しっかりと覚えておいて
下さい。

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142.「無数の集まり」→「一つのもの」
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さて、上の説明では、無数の「?」が、物体Aの周囲に、びっしりと並んでいる
と考えました。
しかし、本来、「エネルギーの粒子」の数は一個なわけですから、もし「一つの
もの」として描くことができるのなら、その方がいいでしょう。

そこで、無数の「?」がびっしりと並んでいる姿の代わりに、物体Aを中心とす
る球殻(球の表面部分)のようなものを考えます。

たとえば、図102・7・1の状態については、次のようなものを考えるわけで
す。

[図102・7・1’]

     / ̄ ̄ ̄ ̄\
    /      \
   /        \
  /          \
 │           │
 │           │
 │     ◎     │
 │           │
 │           │
  \          /
   \        /
    \      /
     \____/

二次元的な図なので、球殻ではなく円周(どころか8角形の辺!)になってしま
っている点は、どうか御容赦願います。

とにかく、こうすれば、「一つのもの」になるでしょう。

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143.方向の不確定性
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ただし、ここで勘違いしないでいただきたいのは、「エネルギーの粒子」そのも
のの形が球殻状になっている、というわけではないことです。
あくまで、存在確率の分布が球殻状になっている、という意味です。
別の言い方をするならば、「エネルギーの粒子」が存在し得る範囲が球殻状にな
っている、ということです。

つまり、こうです。
「エネルギーの粒子」は、この球殻上のどこかに存在する。
でも、それがどこなのかはわからない。
そう考えるわけです。

この考え方を表すには、(たとえば)図102・7・1’よりも、図102・7
・1の方が適していると言えるでしょう。
どんな図にも、長所・短所があります。
目的に応じて使い分けるのが賢明です。
「図102・7・1’」⇔「図102・7・1」といった翻訳が、頭の中で出来
るようにしておいて下さい。

とにかく、「エネルギーの粒子」の位置は、球殻上のどこなのか特定できない、
と考えるわけです。
つまり、位置が『確定』しないのです。
つまりは、『不確定』なわけです。
このことは、「エネルギーの粒子」が放出される方向がわからないことに相当し
ています。
これを、当メルマガでは、「方向の不確定性」と呼ぶことにします。

               * * *

さて、不確定ということにするのは、「方向」だけではありません。
実は、「物体Aからの距離」についても、不確定ということにするのです。
詳しくは、次回、説明いたします。(近日中に配信する予定です。)

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