========================================================================
━┓→
N┃→ 仮想力線電磁気学
━┛→
========================================================================
------------------------------------------------------------------------
●第100回 第4章・遠隔作用と疑似近接作用(その30)
------------------------------------------------------------------------
当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。
たびたび発行が長期中断してしまって、申し訳ありません。
前回に引き続き、「量子」という考え方が、どう「遠隔作用」という考え方に置
き換わっていくのか、見ていくことにしましょう。
なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。
****************************************
129.所要時間では見分けがつかない
****************************************
空間(真空)が電磁気現象に影響を与えないという点では、量子論の概念である
「エネルギーの粒子」という考え方も、遠隔作用の考え方と同じです。
空間は、単に、「エネルギーの粒子」の通り道になっているにすぎません。(ち
なみに、遠隔作用では、エネルギーは、空間を通らず、空間を飛び越えて、直接
相手に到達します。)
したがって、現象上の違い、すなわち、見た目の違いといえば、エネルギー(や
作用)が伝わるのに時間がかかることぐらいです。
以上が、前回までに明らかにされたことでした。
この違いを、下図のような具体的な例で考えてみましょう。
[図100・1]
A B
○~~~~>○
これは、誘導によって生じる電磁気作用により、物体Aから物体Bにエネルギー
が伝わる現象の問題です。
物体Aからエネルギーが放出された時刻をt1、物体Bがエネルギーを受け取った
時刻をt2とすると、エネルギーが伝わるのにかかる所要時間(Δt)は、
Δt = t2 - t1 (100・1式)
となりますね。
すると、前回までの説明によれば、「エネルギーの粒子」の考え方の場合は、
t2 ≠ t1 ( t2 > t1 )
∴ Δt ≠ 0 ( Δt> 0 )
となり、遠隔作用の場合は、
t2 = t1
∴ Δt = 0
ということになる…はずです。
ところが、実際には、今回から説明するように、そうはならない場合がいくらで
もあるのです。
つまり、「エネルギーの粒子」の場合でも、
Δt = 0
となったり、遠隔作用の場合でも、
Δt ≠ 0
となることがあるのです。
こうなってくると、「エネルギーの粒子」の場合と、遠隔作用の場合とで、見分
けがつかなくなってくるでしょう。
これは、「どちらが正しいのか?」ということを検証する人たちにとっては、あ
りがたくないことかもしれません。
ですが、量子論から遠隔作用へ乗り換えようとしている人たちにとっては、大変
ありがたいことです。
なぜなら、これは、本当は遠隔作用による現象が、「エネルギーの粒子」による
現象であると誤解されてきたことを示す証拠となるからです。
となれば、これは見過ごせぬことでしょう。
そこで、今回からは、所要時間の観点からは、「エネルギーの粒子」による場合
と、遠隔作用による場合とで、見分けがつかなくなってしまう理由について、説
明していくことにいたします。
****************************************
130.時間が短すぎると…
****************************************
ちなみに、見分けがつかなくなる理由は、一つではありません。(つまり、複数
あるということ。)
初回の今回は、まず、そのうちの一つで、最も易しいものから説明することにし
ます。
それは、『時間の長さ(短さ?)』に関する問題です。
所要時間Δtが、あまりにも短い(小さい)と、
Δt> 0 (…時間がかかる連続的な移動)
なのか、
Δt = 0 (…時間がかからない瞬間移動)
なのか、見分けがつかなくなってしまうでしょう。
つまり、「エネルギーの粒子」による現象なのか、遠隔作用による現象なのか、
見分けがつかなくなってしまうわけです。
ここで、一つ、注意しておきたいことがあります。
それは、「エネルギーの粒子」は見えない、ということです。
もし、「エネルギーの粒子」が見えるものなのであれば、たとえΔtがかなり短
くても、下図のような軌跡が見えることになるでしょうから、見分けはつくでし
ょう。(━で描かれた部分。)
[図100・2]
A B
○━━━━━○
ところが、「エネルギーの粒子」は見えないので、上図のような軌跡は見えない
のです。
ですから、見分けはつかないのです。
というわけで、見分けがつくためには、(「エネルギーの粒子」の場合に)Δt
が十分に長く(大きく)なければならないわけです。
****************************************
131.微視的スケールと光速度
****************************************
それでは、Δtが十分に長く(大きく)なるためには、どうあらねばならないの
でしょうか?
ここで、二物体間の距離をL、エネルギーの移動速度をvとしましょう。
すると、
Δt = L / v
となりますね。
ですから、Δtが大きくなるためには、Lが大きいか、vが小さくなければなり
ません。
ところが、これらの条件は、ともに満たされないのです。
その理由は、まず第一に、量子論、すなわち、「エネルギーの粒子」という考え
方が活躍する(必要になってくる)分野は、微視的スケールの問題の分野である
ことです。
このため、距離Lがとても短い(小さい)場合が多いのです。
これでは、Δtは大きくならないでしょう。
第二の理由は、さらに深刻です。
それは、「エネルギーの粒子」の場合でも、移動速度vは、光速度cという非常
に大きな値になることです。(ちなみに、遠隔作用の場合は、vが無限大である
と考えるとよいでしょう。)
このため、Δtは極めて小さくなってしまうのです。
というわけで、
Δt ≒ 0 (ただし、Δt ≠ 0 )
となってしまい、
Δt = 0 (…時間がかからない瞬間移動=遠隔作用)
と見分けがつかなくなってしまうのです。
以上が、所要時間の観点からは、「エネルギーの粒子」による場合と、遠隔作用
による場合とで、見分けがつかなくなってしまう第一の理由です。
もっとも、理由はこれだけではありません。
今回説明したのは、ほんの「序の口」にすぎません。
つまり、もっと複雑で深刻な理由が、他にもあるのです。
それらについては、次回以降、説明していきます。
========================================================================
バックナンバーに戻る